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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 1大学病院で4年間に分離されたIMP-19およびIMP-1型メタロ-β-ラクタマーゼ産生Acinetobacter baumanniiの薬剤感受性と分子疫学的解析
論文言語 J
著者名 持丸 朋美1), 内田 勇二郎2), 諸熊 由子1), 与賀田 聡子1), 清祐 麻紀子1), 藤瀬 雅子1), 筒井 俊治1), 江藤 ふじ子1), 下野 信行3), 栢森 裕三1), 康 東天1,2)
所属 1)九州大学病院検査部
2)九州大学大学院医学研究院臨床検査医学
3)九州大学大学院病態修復内科学
発行 臨床微生物:20(1),28─37,2010
受付 平成21年7月28日
受理 平成21年11月20日
要旨  当院では2004~2007年に分離されたメタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)産生菌の67.6%をAcinetobacter baumanniiが占めていた。そこで,当院におけるMBL産生A. baumanniiの分子疫学的調査および,臨床背景などを調査した。その結果,当院で検出された49株のMBL産生A. baumanniiのうち,43株(87.8%)がIMP-19型,6株(12.2%)がIMP-1型であった。薬剤感受性試験より,IMP-19型ではIPMのMIC50がMEPMより高く,IMP-1型ではMEPMのMIC50がIPMよりも高くなっていた。β-ラクタマーゼ阻害剤配合剤に関して,ABPC/SBTのMIC50はIMP-19型では4 μg/ml,IMP-1型では8 μg/ml,CPZ/SBTのMIC50はIMP-19型では2 μg/ml,IMP-1型では4 μg/mlとどちらのタイプも低いMIC値を示した。また,MBL産生A. baumanniiが感染する要因として,ステロイド使用中,抗真菌剤投与中,固形臓器移植,ICU入室のように重症疾患や免疫抑制状態の患者が多い傾向が認められた。遺伝子解析では19グループに分類され,院内感染も十分に考慮する必要があった。発生時の報告・管理の改善にて分離率が減少したことにより,耐性菌のコントロールには検査部と感染制御部との密な連携が重要であると考えられた。
Keywords メタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)産生菌, Acinetobacter baumannii, IMP-1, IMP-19
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