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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
血液培養検査で繰り返しRhodococcus equiを分離した1症例 |
論文言語 |
J |
著者名 |
太田 博美1), 藤原 弘光1), 田仲 祐子1), 谷本 綾子1), 堀井 俊伸2), 上山 潤一3), 岡崎 俊朗1) |
所属 |
1)鳥取大学医学部附属病院検査部
2)鳥取大学医学部附属病院感染制御部
3)鳥取大学医学部附属病院小児科 |
発行 |
臨床微生物:20(1),38─43,2010 |
受付 |
平成21年1月19日 |
受理 |
平成21年12月16日 |
要旨 |
血液培養検査より繰り返しRhodococcus equiを分離した1症例を経験した。症例は7歳男児,2006年4月腹部腫瘤精査目的で当院に入院となり,病理学的検査でWilms腫瘍と診断された。同時に肺などに転移が認められ,化学療法が施行された。2007年3月血液培養検査によりグラム陽性菌が検出された。血液培養ボトルからのグラム染色像は桿菌であったが,分離培養後の羊血液寒天培地上のコロニーでは球菌様の形態を示した。グラム染色像の形態に多様性が見られ,同定に苦慮したため外部機関に検査を依頼しR. equiと同定された。本菌はペネム系抗菌薬療法開始後も発熱時などに実施された血液培養検査から2008年1月まで繰り返し分離された。その後ペネム系抗菌薬とマクロライド系抗菌薬との併用療法で血液培養から本菌は分離されなかった。抗菌薬療法を的確に進めるためには,特に自施設で検査が困難な場合は,積極的に外部機関に依頼することで,確実に菌の同定を行う必要があると考える。また,本症例は起炎菌同定に基づいた抗菌薬療法構築の重要性を再認識させるものであった。 |
Keywords |
Rhodococcus equi, 血液培養検査, 血流感染症 |
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