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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 Staphylococcus aureus検出ラテックス凝集キットドライスポット スタフィテクトプラスの結果に影響した培地と培養時間
論文言語 J
著者名 田澤 庸子1), 佐々木 裕美1), 古畑 由紀江1), 菊地 勇治1), 堀内 啓1), 久保 亮一2), 花木 秀明3), 岡田 淳4)
所属 1)NTT東日本関東病院 臨床検査部
2)関東化学株式会社ライフサイエンス部
3)北里研究所抗感染症薬研究センター/北里大学医学部 感染症学
4)大東文化大学 スポーツ・健康科学部 健康科学科
発行 臨床微生物:20(2),134─137,2010
受付 平成20年5月14日
受理 平成22年1月25日
要旨 Methicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)は,細胞壁上に存在するポリサッカライドのために,結合型コアグラーゼやプロテインAを反応の標的とした従来のラテックス凝集試薬では判定が偽陰性となる場合がある。近年,これらの標的に加え,ポリサッカライドの膜も抗原として認識できるラテックス凝集試薬「ドライスポットスタフィテクトプラス(ドライスポット:関東化学)」が市販された。著者らは従来のラテックス凝集試薬であるPSラテックス‘栄研’(PSラテックス:栄研化学)で陰性となったMRSA40株を被検菌として用い,ヒツジ血液寒天培地(T)(血液寒天培地:日本BD)とCHROMagar MRSA(CHROMagar:関東化学)に分離し,その18時間,24時間および48時間培養コロニーで,PSラテックスとドライスポットにおける反応性を比較検討した。その結果,PSラテックスにおいては培地,培養時間を変更しても40株すべて陰性であった。一方,ドライスポットにおいては血液寒天培地の18時間培養コロニーで40株中3株に陽性反応がみられ,24時間培養コロニーでも変わらなかったが,CHROMagarでは18時間培養コロニーで15株に陽性反応がみられ,24時間で新たに23株が加わり,陽性株は合計38株となった。以上のことから,ドライスポットは従来のラテックス試薬では陰性となるMRSAの検出にも有用な試薬であり,使用する際にはCHROMagarで24時間以上培養したコロニーを用いることが有効な方法であると考えられた。
Keywords ポリサッカライド, MRSA, コアグラーゼテスト, ラテックス凝集反応
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