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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 在宅中心静脈栄養患者にみられたGordonia sputi敗血症の1例―原因菌の分離・同定・鑑別を中心に―
論文言語 J
著者名 榎園 恭子1), 村上 日奈子1,5), 大楠 清文2), 彦坂 あゆみ1), 福澤 滋1), 前原 千佳子1), 安井 久美子1), 湯本 重雄1), 岩田 守弘1), 青池 望3), 舘田 一博1,3), 鷲澤 尚宏4), 江崎 孝行2), 山口 惠三1,3,5)
所属 1)東邦大学医療センター大森病院臨床検査部
2)岐阜大学大学院医学研究科再生分子統御学講座病原体制御学分野
3)東邦大学医学部微生物学・感染症学講座
4)東邦大学医療センター大森病院栄養治療センター
5)東邦大学医療センター大森病院感染管理部
発行 臨床微生物:20(3),188─194,2010
受付 平成20年11月10日
受理 平成22年6月30日
要旨  在宅中心静脈栄養患者にみられたGordonia sputi敗血症の1例を経験した。本患者は小腸全摘術後の短腸症候群にて,皮下埋め込み式ポートを用いて自宅で高カロリー輸液により管理されていた。抗菌薬不応性の発熱がみられたため入院精査となり,血液培養より5回にわたって好気性グラム陽性桿菌が分離された。日常業務の細菌検査ではGordonia属,およびRhodococcus属が疑われたが,正確な菌種の同定には至らなかった。ペニシリンGおよびパニペネムの併用により解熱がみられ,皮下埋め込み式ポートは温存したまま退院となった。後日,分離菌の16S rRNA解析により原因菌がG. sputiであることが明らかとなった。Gordonia属は免疫不全宿主におけるカテーテル感染症としてこれまでに数例報告されている。今後,危険因子を有する宿主においてグラム陽性桿菌が分離された場合には本菌も念頭において対応することが重要であると思われた。
Keywords Gordonia sputi, 敗血症, 在宅中心静脈患者, 16S rRNA
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