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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
Klebsiella K抗原血清型標準株におけるバイオフィルム形成能と莢膜多糖および菌体表面タンパク質との関連性に関する検討 |
論文言語 |
J |
著者名 |
石原 由華1,2)*, 太田 美智男1,2) |
所属 |
1)椙山女学園大学看護学部看護学科
2)名古屋大学医学系研究科分子病原細菌学 |
発行 |
臨床微生物:20(4),225─232,2010 |
受付 |
平成22年6月2日 |
受理 |
平成22年8月9日 |
要旨 |
Klebsiellaの主要病原因子である莢膜多糖(K抗原)と線毛は,バイオフィルム形成に深く関与していることが指摘されている。そこでKlebsiellaの76のK抗原型標準株においてコロニー表現型,プロテアーゼ処理とバイオフィルム形成能を調べ,バイオフィルム形成における莢膜多糖と菌体表面タンパク質(おそらくは線毛)の関連性を検討した。25℃および37℃培養でバイオフィルムを高度に形成したK8,K17,K27,K37株はすべてnon-hypermucoviscosity型のコロニーを呈し,一方で25℃,37℃の両方でバイオフィルム形成が検出されなかったK1,K2,K3株はhypermucoviscosity型であった。したがってコロニーのmucoviscosityはバイオフィルム形成に直接的に関与していないか,あるいは逆の相関がある可能性が示された。さらに37℃培養で形成したバイオフィルムがプロテアーゼ処理により顕著に減少したのはK8,K27,K79株で,25℃培養で同処理により減少したのはK27株であった。これらの株は,バイオフィルムの形成過程において菌体表面タンパク質が莢膜多糖よりも優位に関与している可能性が考えられた。一方,バイオフィルム形成において莢膜多糖のほうが菌体表面タンパク質よりも強く関与していると思われたのはK37株であり,25℃および37℃でバイオフィルムを高度に形成したがプロテアーゼ処理効果が全く見られなかった。以上から,KlebsiellaのバイオフィルムはK抗原型株によって異なり,莢膜多糖が優位に関与する株と菌体表面タンパク質が優位に関与する株,どちらともはっきりしない場合があることが見いだされた。 |
Keywords |
Klebseilla K抗原血清型標準株, バイオフィルム, 莢膜多糖, 菌体表面タンパク質, プロテアーゼ処理 |
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