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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
本邦で初めて分離されたParacoccus yeeiの1例 |
論文言語 |
J |
著者名 |
田澤 庸子1), 佐々木 裕美1), 古畑 由紀江1), 菊地 勇治1), 堀内 啓1), 大楠 清文2) |
所属 |
1)NTT東日本関東病院臨床検査部
2)岐阜大学大学院医学系研究科病原体制御学分野 |
発行 |
臨床微生物:20(4),233─238,2010 |
受付 |
平成22年4月9日 |
受理 |
平成22年8月30日 |
要旨 |
2003年に新種として登録されたParacoccus yeeiを分離した症例を経験した。患者は,74歳男性で,2008年2月に入院後膵頭部癌と診断され,膵頭十二指腸切除術を予定していた。術前は胆道感染症を示唆する所見は認められず,スクリーニング目的の胆汁が検査室に提出された。塗抹検査ではグラム陽性球菌とMoraxella catarrharis様のグラム陰性双球菌が認められ,分離培養ではMSSAのほかに,ムコイド状のコロニーが遅れて発育してきた。このコロニーは,グラム陰性球菌,カタラーゼとオキシダーゼ陽性で,自動同定感受性測定機器による同定ではMoraxella sp.となったがコロニーの形態が一致せず,簡易キットでは判定不能であった。そのため遺伝子学的検査を実施し,16S rDNA塩基配列の相同性(99.8%)の結果から本邦で初めての分離報告となるP. yeeiが同定された。同定機器やキットのデータベースにない菌種を分離した際には,早期に臨床側と患者や分離菌に関する情報を共有し,遺伝子学的同定法などの手法を選択することが重要と思われた。 |
Keywords |
Paracoccus yeei, 16S rRNA, Moraxella catarrharis |
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