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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 Shewanella haliotisによる右下肢蜂窩織炎および敗血症の1症例
論文言語 J
著者名 田寺 加代子1), 下中 秋子1), 大楠 清文2), 森井 大一3), 下花 純一1), 道中 智映1), 谷山 清己4)
所属 1)独立行政法人国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター臨床検査科
2)岐阜大学大学院医学系研究科病原体制御学分野
3)独立行政法人国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター救命救急部
4)独立行政法人国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター臨床研究部
発行 臨床微生物:20(4),239─244,2010
受付 平成22年5月7日
受理 平成22年9月29日
要旨  症例は82歳男性。右下肢痛のため歩行困難となり近医を受診後,心不全の疑いにて当センターに救急搬送された。来院時の胸部X線と心臓超音波検査にて,軽度心拡大と大動脈弁閉鎖不全症および僧帽弁閉鎖不全症,また右下腿から大腿にかけ紫斑・熱感を伴う腫脹と把握痛を認め,心不全と蜂窩織炎疑いで入院となった。第3病日に血圧・意識レベルが低下し敗血症性ショックとなり,第4病日に右足背部に水疱形成と急速な壊死が認められた。血液培養より,やや湾曲したグラム陰性桿菌が観察され,TCBS培地に発育した白糖非分解の集落を認めた。血液寒天培地上の集落で実施したオキシダーゼテストは陽性であり、当初はVibrio vulnificus感染症を疑った。その後16S rRNA遺伝子解析により,近年その存在が明らかとなったShewanella haliotisと同定された。下肢水疱分泌物からも同菌が分離され,S. haliotisによる蜂窩織炎および敗血症と診断された。敗血症は,抗菌薬投与により数日で改善が認められたが,下肢の壊死を伴う皮膚潰瘍は治癒までに3カ月近くを要した。
Keywords Shewanella haliotis, 蜂窩織炎,敗血症,16S rRNA遺伝子
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