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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
フルオロキノロン耐性肺炎球菌,インフルエンザ菌に対する各種キノロン系抗菌薬の活性比較 |
論文言語 |
J |
著者名 |
横田 伸一, 大越 康雄, 藤井 暢弘 |
所属 |
札幌医科大学医学部微生物学講座 |
発行 |
臨床微生物:21(1),17─24,2011 |
受付 |
平成22年8月4日 |
受理 |
平成22年12月2日 |
要旨 |
北海道の基幹病院および民間の臨床検査センターでさまざまな臨床検体から分離された肺炎球菌およびインフルエンザ菌からスクリーニングされたフルオロキノロン耐性株を中心に,4剤の経口キノロン系抗菌薬のin vitroでの活性を評価した。フルオロキノロン耐性肺炎球菌(10クローン,11株)に対するCmaxおよびfree Cmax濃度における殺菌速度はガレノキサシン>シタフロキサシン>モキシフロキサシン>レボフロキサシンの順で速かった。高いarea under the time-concentration curve(AUC)値を示すガレノキサシンがフルオロキノロン耐性株を含むすべての株で最も高いAUC/MIC比を示し,肺炎球菌のターゲット値(30~40以上)を超えていた。フルオロキノロン耐性インフルエンザ菌の12株(三つの耐性クローン由来と考えられる)では,シタフロキサシンが最も低いMIC値を示したが,AUC/MIC比のターゲット値(100~125以上)を超えたのは他剤と同様に軽度耐性の一つのクローンに対してのみであった。フルオロキノロン耐性肺炎球菌の血清型は比較的出現頻度の低いものが多く,分離株全体の出現頻度とは大きく異なっていた。肺炎球菌に対する低いMIC,速やかな殺菌活性と高いAUC値を兼ね備えているガレノキサシンは,従来のフルオロキノロン系抗菌薬に耐性を示す肺炎球菌に対しても治療効果の期待できることが示された。 |
Keywords |
キノロン, 薬剤耐性, 血清型, 分子疫学, PK/PD |
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