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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
臨床情報による的確な検体処理でClostridium tetaniの分離に成功した破傷風の一症例 |
論文言語 |
J |
著者名 |
大橋 一孝1), 河合 裕美1), 渡邉 美菜子1), 山本 詩子1), 岡崎 恵美1), 高野 由喜子1), 早川 希威1), 佐藤 敏夫1), 大花 昇1), 山本 夏男2), 今福 裕司2), 塚田 泰彦3), 須釜 久美子5), 小黒 祐子5), 山本 明彦4), 高橋 元秀4), 金光 敬二2) |
所属 |
1)福島県立医科大学附属病院 検査部
2)福島県立医科大学医学部 感染制御・臨床検査医学講座
3)福島県立医科大学附属病院 救急科
4)国立感染症研究所 細菌第二部
5)福島県衛生研究所 |
発行 |
臨床微生物:21(1),35─39,2011 |
受付 |
平成22年8月23日 |
受理 |
平成22年12月25日 |
要旨 |
破傷風は破傷風菌(Clostridium tetani)が産生する神経毒素により強直性痙攣など重篤な神経症状を引き起こす致命率の高い感染症である。C. tetaniは土壌中に常在しており,創傷部位から体内に侵入した菌が毒素を産生することで発症する。原因菌のC. tetaniは分離培養が難しく,通常は外傷の既往と破傷風特有の臨床症状などから診断され治療が行われており,菌が分離同定されることはまれである。今回われわれは創傷部位の組織片より菌を分離し,細菌学的特徴および毒素の確認によりC. tetaniと同定しえた症例を経験したので報告する。症例は50歳女性,引っ越し作業中に左下腿部を受傷,その後嚥下障害および開口障害から全身硬直となり救急搬送された。搬送直後の微生物検査依頼時に破傷風疑いのコメントがあり,迅速な検体処理と嫌気培養が行えたことにより菌体の分離に成功した。 |
Keywords |
tetanus, Clostridium tetani, tetanospasmin |
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