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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
糞便中Clostridium difficile Toxin AおよびToxin B同時検出試薬の有用性に関する比較検討 |
論文言語 |
J |
著者名 |
上田 安希子1), 豊川 真弘1), 西 功1), 砂田 淳子1), 坂田 友美1), 木村 圭吾1), 井上 依子1), 浅利 誠志2) |
所属 |
1)大阪大学医学部附属病院臨床検査部
2)大阪大学医学部附属病院感染制御部 |
発行 |
臨床微生物:21(1),51─58,2011 |
受付 |
平成22年8月13日 |
受理 |
平成23年1月21日 |
要旨 |
糞便中Clostridium difficile Toxin AおよびToxin B同時検出試薬であるイムノカードCDトキシンA & B(ImmunoCard)とTOX A/B QUIK CHEK「ニッスイ」(QUIK CHEK)のC. difficile関連下痢症(C. difficile-associated diarrhea;CDAD)の迅速診断における有用性を比較検討した。CDADの標準的診断検査法である細胞毒性試験を対照とした場合のImmunoCardのsensitivity,specificity,positive predictive value(PPV),negative predictive valueはそれぞれ85.2%,93.2%,82.1%,94.4%(有病率27%),一方,QUIK CHEKは74.1%,93.2%,80.0%,90.7%であり,ImmunoCardはQUIK CHEKよりも約10% sensitivityが優れていた。このような検出感度差は毒素産生株の培養上清および新鮮糞便検体を用いた希釈感度試験においても認められ,ImmunoCardはQUIK CHEKよりも2~8倍検出感度が優れていた。一方,ImmunoCardでは滴下試料の吸収不良を引き起こす検体が38検体(38%)認められ,そのうち2検体は吸収不良に起因する検出感度の低下(偽陰性)をきたしていた。これら偽陰性については試料滴下直前の遠心分離操作を加えることにより改善可能であったことから,ImmunoCardでは遠心分離操作の追加により,よりいっそうの感度向上が可能と思われた。さらに,ImmunoCardおよびQUIK CHEKでは非特異反応に起因する偽陽性が少なからず認められ,有病率10%の場合のPPVは58.0%および54.6%まで低下した。このような偽陽性検体は全例がグルタメートデヒドロゲナーゼ(GDH)検査陰性であったことから,ImmunoCardとGDH検査を組み合わせた2 step approach法は検査精度(PPV)の向上に極めて有用と考えられた。 |
Keywords |
ImmunoCard Toxins A & B, TOX A/B QUIK CHEK, Clostridium difficile toxin, cytotoxicity assay, C. difficile culture |
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