要旨 |
マラリアは世界では一般的な感染症で年間80万人が死亡していると報告されている1)。わが国においては輸入感染症として年間約60例が報告されている2)。ただしこの数は報告がなされているもののみであり海外での感染例や未報告例を含めるとさらに多くの患者が予想される。マラリアは従来4種がヒトに感染するといわれていたが近年東南アジアにおいてサルマラリアのヒト感染例が報告され第五のマラリアとして認知されつつある3)。またこれらのうち熱帯熱マラリアは非免疫状態にある日本人にとっては診断治療の遅れが致命的になる可能性が高く注意が必要である。診断にはギムザ染色が必須であるがイムノクロマトを用いた簡易診断キットが海外では広く用いられている。しかしわが国においてのマラリア簡易診断キットは体外診断薬として認可されておらず使用に制限があるのが実情である。またマラリアの重症度判定に敗血症のマーカーであるプロカルシトニンが有用であるとの報告があり今後の検討が必要である。 |