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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 百日咳菌分離培養のための市販搬送容器内における生菌数の変動
論文言語 J
著者名 岡田 潤平, 小松 方, 田中 裕人, 加藤 貴代子, 村上 貴美佳, 藤原 恵夢, 松岡 宏治, 前出 卓也
所属 ファルコバイオシステムズ総合研究所検査三課
発行 臨床微生物:21(2),129─133,2011
受付 平成22年11月7日
受理 平成23年1月26日
要旨  Bordetella pertussisの検体搬送時に使用する輸送容器内での生菌数の保存性について検討を行った.以下5種類の搬送綿棒,(1)シードスワブ1号(栄研化学),(2)シードスワブ3号(栄研化学),(3)カルチャースワブ プラス シングル(フィルム/フィルム,BD),(4)カルチャースワブEZ(BD),(5)メンティップ病院用綿棒1P1504(日本綿棒)を選択した.B. pertussis ATCC9797を生理食塩水でMcFarland No. 1の1/2に調整.これに綿棒を浸し搬送容器に収納,室温で保存した.ボルデテラCFDN培地(日研生物)で時間ごとに生菌数をカウントした.B. pertussis ATCC9797の菌液調整直後の生理食塩水中の生菌数濃度を100%としたとき,綿棒を菌液に浸した直後の各種綿棒への1 mlあたりの生菌数の回収率は3.2~13.5%といずれもわずかであった.すべての綿棒は保存とともに生菌数の減少を認めたが,室温保存24時間時点の生菌数(%)は,それぞれ(1)65.0%,(2)55.0%,(3)25.0%,(4)70.3,および(5)0%であり,特に減少率が著しかったのは(3)および(5)であった.以上のことから,綿棒を使用した方法は生菌数の回収率が悪く,かつ綿棒の種類の違いによって保存による影響に差を認めることが明らかとなった.
Keywords 輸送培地, 百日咳, Bordetella pertussis,分離培養
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