学会誌

日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 感染管理と実地疫学調査
論文言語 J
著者名 加來 浩器
所属 防衛医学研究センター 情報システム研究部門
感染症疫学解析対策室(IDEA Unit)
発行 臨床微生物:21(3),175─184,2011
受付 平成23年7月28日
受理
要旨  さまざまな多剤耐性菌の出現や日和見感染事例の多発を受けて,医療機関における院内感染対策は,感染制御チームによる組織的な活動や医療機関間における連携などが求められるようになった。そのなかで,検査技師は基礎となるサーベイランスデータの収集,解析・解釈の分野での活躍が期待されている。感染管理活動を限られた人材で効果的に行うためには,それぞれの活動をPDCAサイクルに当てはめて考察することが有用である。サーベイランスもPDCAサイクルに照らし合わせて考えると,対策決定者,情報提供者,分析者の立場がよく理解できる。サーベイランス・システムを構築するには,1)優先性を考慮した対象疾患の選定,(2)サーベイランスの目的の明確化,(3)調査の対象とする母集団の選定,(4)データと指標,(5)報告要領を考慮しなければならない。サーベイランスをアウトブレイク早期探知に活用するには,ベースラインを知ることが重要である。アウトブレイク発生時に行う実地疫学調査は,まず事例の概要を把握するための記述疫学を行い,次に感染リスク評価のための解析疫学を行う。これらの結果から,真の原因を突き止めることで,再発防止のための提言を作り出すことが重要である。
Keywords
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