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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
新生児集中治療室の複数の患者より分離されたメタロ-β-ラクタマーゼ産生Klebsiella pneumoniaeに関する検討 |
論文言語 |
J |
著者名 |
香月 耕多1,2), 永沢 善三3), 村谷 哲郎4,5) |
所属 |
1)国立病院機構熊本医療センター
2)国立病院機構佐賀病院
3)佐賀大学医学部付属病院検査部
4)(株)キューリン検査部
5)産業医科大学医学部泌尿器科学 |
発行 |
臨床微生物:21(3),185─192,2011 |
受付 |
平成22年8月27日 |
受理 |
平成23年5月9日 |
要旨 |
メタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)産生Klebsiella pneumoniaeの院内感染例を経験した。発端となった症例は539 gで出生した女児。日齢46にSpO2の変動,腹部膨満,血便が出現しショック状態となり,壊死性腸炎の診断にて壊死腸管切除と人工肛門増設術が施行された。ceftazidime,vancomycin,cefotaximeの抗菌薬投与では感染のコントロールはできず,meropenemの投与にて救命できた。血液,腹水,便の細菌培養からIMP-1型のMBL産生K. pneumoniaeを分離した。その後,新たに2名の新生児より本菌が分離されたため,院内感染を疑い,入院中の全新生児の便培養を施行した。その結果新規検出3名を含む6名から本菌を分離した。PFGEによる解析で,同一泳動パターンを認めた。接触感染対策を徹底したが,終息までに合計13名より本菌が分離された。免疫機能が脆弱な未熟児病棟での耐性菌の蔓延は深刻な問題であるため,早期に検出報告し,アウトブレイク対策を徹底することが重要であると考える。 |
Keywords |
Klebsiella pneumoniae, メタロ-β-ラクタマーゼ, 壊死性腸炎, meropenem |
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