学会誌

日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 日本の病院における血液培養採取状況および陽性率の実態調査―パイロットスタディ―
論文言語 J
著者名 大曲 貴夫1,3), 高倉 俊二2), 松村 康史2), 杉山 知代1), 竹下 望3), 高橋 真菜美3), 相野田 祐介4), 後藤 亜江子4), 知花 なおみ5), 大城 健哉5), 宇野 健司6), 中山 章文6), 久保 健児7), 池田 紀男7)
所属 1)静岡がんセンター
2)京都大学医学部附属病院
3)独立行政法人国立国際医療研究センター
4)東京女子医科大学病院
5)地方独立行政法人那覇市立病院
6)奈良県立医科大学附属病院
7)日本赤十字社和歌山医療センター
発行 臨床微生物:22(1),13─19,2012
受付 平成23年8月30日
受理 平成23年10月31日
要旨  本邦における感染症診療の質評価および精度管理上の観点から,国内の医療機関の血液培養検査(以下 血培)に関する統計を求めることが必要である。よって今回の研究を施行した。国内6施設からアンケート調査で2007年~09年度の情報(入院統計値,血培採取セット数,複数セット採取数,検出菌)を収集した。汚染率は米国臨床病理医協会の基準に基づき算出した。2009年度 集計値の中央値(範囲)は,ベッド数は852.5床(470~1423),年間在院患者延べ数は257,117 patient-days(157,606~372,421)であった。100病床数あたりの血液培養採取セット数は694.8セット(296.6~2151.7),1,000 patient-daysあたりの採取セット数は25.2セット(10.4~64.2),1,000入院あたりの血液培養採取セット数は359.6セット(203.4~897.0)であった。複数セット採取率は67.2%(50.7~85.2%),汚染率は1.8%(0.96~8.5%)であった。陽性率は13.9%(11.0~20.0%)であった。以上により,血培採取状況の病院間差の大きさが示された。同時に,得られた統計値は米国American Society of Microbiologyの示す目標値との乖離がみられ,国内・国際比較を含む検討のためには全国規模の調査が必要と考えられた。全国規模の血培実態調査は十分可能であると考えられる。
Keywords 血液培養, 日本, 精度管理, 臨床指標
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