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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 内視鏡感染管理における内視鏡清浄度調査の重要性について
論文言語 J
著者名 坂田 友美1), 西 功1), 豊川 真弘1), 砂田 淳子1), 上田 安希子1), 木村 圭吾1), 井上 依子1), 浅利 誠志1,2)
所属 1)大阪大学医学部附属病院 臨床検査部
2)大阪大学医学部附属病院 感染制御部
発行 臨床微生物:22(1),35─41,2012
受付 平成23年9月12日
受理 平成23年12月19日
要旨  近年,内視鏡の洗浄消毒工程において作業の効率化・確実性を目的として内視鏡自動洗浄消毒装置(以下,自動洗浄機)を使用する施設が増加している。しかし,自動洗浄機を用いて洗浄消毒を実施した後の内視鏡が確実に清浄であるか否かは調査されていない。今回われわれは,自動洗浄機による洗浄消毒後の上部消化管内視鏡(延べ40本),下部消化管内視鏡(延べ53本)および気管支鏡(延べ50本)について,内視鏡内腔を滅菌生理食塩水で強くフラッシングし採取した液の塗抹・培養検査を実施し,洗浄消毒後内視鏡の清浄度を微生物学的観点より調査した。その結果,塗抹検査にて細菌・真菌が確認された内視鏡は20本(14.0%),細胞成分が確認された内視鏡は22本(15.4%)であった。また,菌の発育が確認された内視鏡は6本(4.2%)であり,これらの内視鏡について再度洗浄消毒を行い同様の調査を実施したところ,3本の内視鏡より再調査においても菌の発育が確認された。再洗浄消毒後も継続して菌の発育が確認されたことより,3本の内視鏡には通常の洗浄消毒では除去不可能な汚染が存在していると推測された。自動洗浄機の使用にもかかわらず内視鏡の汚染が確認されることが判明したことより,自動洗浄機の消毒効果の過信は禁物であり,内視鏡の感染管理として微生物検査室による塗抹・培養検査を用いた定期的な内視鏡清浄度調査の実施が重要であると考えられた。
Keywords 内視鏡, 清浄度調査, 感染管理
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