日本臨床微生物学会雑誌：書誌情報

日本臨床微生物学会雑誌

書誌情報

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Article in Japanese

論文名	1大学病院におけるMycobacterium kansasii菌株のhsp65-PRA法を用いた遺伝子型別と分離状況の検討
論文言語	J
著者名	火石　あゆみ1）, 田澤　節子4）, 新井　祐司1）, 宇賀神　和久5）, 阿南　晃子1）, 富樫　真弓1）, 中村　久子1）, 矢澤　直行1）, 土屋　裕2）, 林　宗貴3）, 丸茂　健治4）
所属	1）昭和大学藤が丘病院　臨床検査部 2）同　呼吸器内科 3）同　救急医学科 4）同　臨床病理科 5）昭和大学病院　臨床検査部
発行	臨床微生物：22（1），49─53，2012
受付	平成23年9月21日
受理	平成24年1月13日
要旨	Mycobacterium kansasiiは病原性の高い非結核性抗酸菌であるが，大学病院や市中病院での報告は極めて少ない。今回，当院における過去8年間（2003年1月～2010年2月）のM. kansasii分離状況を調べた。M. kansasiiは毎年1～2例，10患者から分離された。塗抹所見は（－）～（2＋），培養は小川培地で1～＞100集落であった。性差は女性よりも男性が4倍高く，70歳代が多かった。hsp65-PRA（PCR-restriction enzyme pattern analysis using mycobacterial heat shock protein 65-kDa gene）法で，hsp65-type Iが8株，hsp65-type IIとIIIが各1株であった。M. kansasiiに対する治療はhsp65-type Iが分離された8例中4例で行われていた。半定量catalase試験ではhsp65-type IとIIが高catalase産生であった。HIV患者から分離されることがあるhsp65-type IIが分離された患者は，間質性肺炎で全身状態が悪い症例で，本菌に対する治療は行われなかった。この型のPCR産物は従来のものと1塩基異なった（Genbank accession no. JF836805）。環境からの分離が多いhsp65-type IIIが分離された患者は，肺がんが疑われた症例で汚染菌の可能性が高かった。今後症例数を集めるなかで，hsp65-PRA法によるM. kansasii型別を診断のための補助的手段として明らかにしていきたい。
Keywords	Mycobacterium kansasii, hsp65-PRA法, 半定量catalase試験