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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
多剤耐性緑膿菌の迅速簡易検出法の開発とその評価 |
論文言語 |
J |
著者名 |
横山 覚1), 川村 久美子1), 八木 哲也2), 荒川 宜親3,4) |
所属 |
1)名古屋大学大学院医学系研究科 医療技術学専攻 病態解析学講座
2)名古屋大学大学院医学系研究科 臨床感染統御学
3)名古屋大学大学院医学系研究科 分子病原細菌学/耐性菌制御学
4)国立感染症研究所 細菌第二部 |
発行 |
臨床微生物:22(2),126─134,2012 |
受付 |
平成23年11月25日 |
受理 |
平成24年5月1日 |
要旨 |
われわれは既存の緑膿菌選択培地CHROMagarTM Pseudomonasに3種類の抗菌薬amikacin(AMK),imipenem/cilastatin(IPM),ciprofloxacin(CPFX)を添加することにより作製した「multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa(MDRP)スクリーニング培地」を本学会誌に報告した。本研究では,臨床検査における本スクリーニング培地の有用性を確認するため,さまざまなβ-ラクタマーゼ耐性機構を有する7菌種138株を用いて,薬剤添加濃度2条件(条件1;AMK 1 μg/ml,IPM 4 μg/ml,CPFX 1 μg/mlおよび条件2;AMK 1 μg/ml,IPM 6 μg/ml,CPFX 1 μg/ml)における培地性能を再評価した。MDRP 47株における本培地の感度は,条件1が80.9%であったのに対し,条件2ではメタロ-β-ラクタマーゼ非産生株の半数近くが偽陰性を示したため70.2%と低くなった。本培地には,MDRP以外に3剤耐性Serratia marcescens(IMP-1型メタロ-β-ラクタマーゼ産生株)とKPC型β-ラクタマーゼ産生Klebsiella pneumoniaeが発育したが,コロニーの色調からMDRPとは容易に判別でき,特異度は両条件とも96%以上と良好であった。感度,特異度に加えて,培地作製後4週間の安定性を確保し,少量菌(約100 CFU/ml)の検出も可能であったことから,条件1で作製したスクリーニング培地のほうが,より有用性が高いと判断した。MDRPスクリーニング培地は,簡便性と迅速性を併せ持つ安価な検出法であり,本法の導入は日常検査のみならず,病院感染対策の効率化にも貢献できるものと考える。 |
Keywords |
多剤耐性緑膿菌, 迅速検出法, スクリーニング培地, 病院感染対策 |
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