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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 臨床真菌検査に関するアンケート調査成績―1994年,2002年および2010年の調査成績の比較―
論文言語 J
著者名 阿部 美知子1), 黒崎 祥史1), 小川 善資1), 久米 光2)
所属 1)北里大学医療衛生学部医療検査学科
2)北里大学医学部 病理
発行 臨床微生物:22(2),135─145,2012
受付 平成24年3月12日
受理 平成24年5月1日
要旨  1994(平成6)年,2002(平成14)年および2010(平成22)年に,全国の微生物検査室を対象に臨床真菌検査の現状に関するアンケート調査を行い,各調査年次で200前後の施設より回答を得た。9割の検査室は臨床医より真菌検査の依頼がない場合でも,臨床症状や臨床材料によって自主的に真菌検査を追加していた。同定結果が得られる以前に鏡検や培養成績を中間報告する施設は経年的に増加の傾向を示したが,その一方で培養日数が不足と思われる施設も2010年の調査で約5割と増加の傾向を示し,検査法の啓蒙の必要性が示唆された。分離用培地は,カンジダ属菌の鑑別分離培地の使用が多く,2010年は81%の施設が使用していた。また,同年次の血中(1→3)-β-d-グルカンの検査は94%の施設で,感受性検査は59%の施設で依頼されており,検査法および検査依頼内容に経年的変遷が見られた。真菌検査の実施に際して困窮することは,(1)初めて分離した真菌の同定,(2)菌糸のみを形成する糸状菌の同定,(3)分離糸状菌の意義づけなどであったが,卒後教育は不十分とする施設は83%から56%と減少し,各学術団体の教育努力の傍証と考えられた。しかし,現状において約半数はいまだ不十分と回答しており,真菌の検査手技や糸状菌の同定などに関する講習会開催の希望が多かった。
Keywords 臨床真菌検査, アンケート調査
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