日本臨床微生物学会雑誌：書誌情報

日本臨床微生物学会雑誌

書誌情報

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Article in Japanese

論文名	再発を繰り返したCorynebacterium kroppenstedtiiによる乳腺炎の1症例
論文言語	J
著者名	菅原　芳秋1）, 大楠　清文2）, 大塚　喜人3）, 坂田　英子4）, 須田　武保5）, 中栄　正隆1）, 柴崎　浩一6）
所属	1）日本歯科大学医科病院中央検査科 2）岐阜大学大学院医学系研究科病原体制御学分野 3）医療法人鉄蕉会亀田総合病院臨床検査部 4）新潟大学大学院医歯学総合研究科機能再建医学消化器一般外科学分野 5）日本歯科大学新潟生命歯学部外科学講座 6）日本歯科大学新潟生命歯学部内科学講座
発行	臨床微生物：22（2），161─166，2012
受付	平成24年1月6日
受理	平成24年4月16日
要旨	症例は36歳，女性。右乳房痛と発熱を主訴に入院。超音波検査で膿瘍を認めたため，局部麻酔下にて切開ドレナージが施行され，flomoxef，clindamycinが投与された。いったんは治癒したが，再発を繰り返して治療に難渋した。閉鎖膿のグラム染色で多数の白血球とグラム陽性桿菌の白血球貪食像が観察された。培養検査ではコロンビア5％ヒツジ血液寒天培地（日本BD）に非溶血性の白色コロニーを認めた。同定キットや生化学的性状では菌種を確定できなかったが，遺伝子学的検査法によってCorynebacterium kroppenstedtiiと同定した。C. kroppenstedtiiは脂質好性であるため，脂肪が豊富な乳腺で感染を起こすことが特徴である。水溶性の抗菌薬は乳腺への移行性が低いため，本菌に対して感受性を示しても効果が得られにくいことが，再発を繰り返した要因の一つと考えられた。再発を繰り返す乳腺炎や肉芽腫性乳腺炎を認めた場合には，C. kroppenstedtiiによる感染の可能性を念頭におき，培養期間の延長や脂質を添加した培地を用いた検査が重要である。
Keywords	Corynebacterium kroppenstedtii, mastitis, 再発, lipophilic corynebacteria