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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 主要な血清型の大腸菌を検出する酵素基質培地の開発
論文言語 J
著者名 北川 真喜, 市石 卓, 葛原 繁明, 江成 博
所属 極東製薬工業株式会社 研究開発本部 製品開発部
発行 臨床微生物:22(3),214─220,2012
受付 平成23年9月22日
受理 平成24年6月28日
要旨  腸管出血性大腸菌enterohaemorrhagic Escherichia coli(EHEC)の主要な血清型であるO157,O26,O111の鑑別・分離を目的としたバイタルメディアCIX寒天培地を開発した。2種類の酵素基質を利用することでO157は青~青緑色,O26,O111は群青~濃紫色に呈色する。またpH指示薬とCLIG寒天培地で大腸菌の鑑別に有用性が確認されているセロビオースを添加することで,類似の呈色を示す菌種を可能な限り低減させた。EHEC; 27株およびベロ毒素(VT)非産生O157; 2株を用いた検討では,Cefixime-tellurite(CT)耐性の13株は所期の色を呈したが,CT感受性の16株は非発育あるいは極めて弱い発育であった。Escherichia coli; 2株およびEnterobacteriaceae; 18株では,Escherichia hermannii 1株を除き非発育あるいは極めて弱い発育であった。糞便材料40検体を用いて検討した結果,目的菌以外で発育した常在菌はKlebsiella spp.が最も多く,次いでEnterobacter spp.であった。しかしながら,EHECとの判別は可能であった。本培地を使用することで,類似の呈色を示す大腸菌以外の菌種が低減可能となり検査の効率化が期待される。
Keywords 腸管出血性大腸菌(EHEC), 酵素基質, CIX寒天培地, Cefixime-tellurite
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