|
日本臨床微生物学会雑誌
|
書誌情報
論文名 |
病原菌の薬剤耐性化と生命の進化 |
論文言語 |
J |
著者名 |
橋本 一1), 村山 琮明2) |
所属 |
1群馬大学医学部微生物学教室(元) 2日本大学薬学部分子細胞生物学研究室 |
発行 |
臨床微生物:23(1),1─11,2013 |
受付 |
平成25年1月31日 |
受理 |
|
要旨 |
病原菌の薬剤耐性化は薬剤の血中濃度が感受性菌のMICと耐性菌のMICとの間の領域(MSW)内にある時間が長いとき,耐性菌の選択増殖がおこる必然的な結果である。病原微生物の薬剤耐性機構としては,薬剤の不活化,作用点の変異,流入阻害,排出がある。耐性化機構としては,内在遺伝子の変異か外来性遺伝子の獲得がある。後者の機構には形質転換,形質導入,接合伝達がある。外来性遺伝子の起源を辿ると二億年以前の薬剤生産菌の自己防衛機構におよぶ。殆どの薬剤は他の低分子とともに,低濃度で種々の遺伝子発現調節能がある。薬剤を含む低分子の起源は情報伝達因子でもあり,生命の起源ではRNAとともにタンパク質合成に関する重要因子とも推定されている。微生物進化はゲノムの進化であり,遺伝子の重複,変異,水平遺伝などによる。病原菌の進化も種々の環境変化に適応する姿であり,薬剤耐性化は生命進化解析の格好の題材と言えよう。 |
Keywords |
MSW, 薬剤耐性化機構, 水平遺伝, 耐性遺伝子の起源, parvome |
|