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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
抗酸菌培養におけるアシッドプラスを用いた検体前処理法の有用性 |
論文言語 |
J |
著者名 |
早川 絵里, 中野 学 |
所属 |
国立病院機構三重中央医療センター臨床検査科 |
発行 |
臨床微生物:23(1),20─24,2013 |
受付 |
平成24年10月4日 |
受理 |
平成25年1月28日 |
要旨 |
当院では,抗酸菌培養における雑菌汚染を軽減する為の対策として,N-acetyl-L-cysteine(NALC)-NaOH処理法に酸処理剤アシッドプラス(極東製薬)を加えた,NALC-NaOH-酸処理法を行っている。今回,酸処理剤の有効性を評価するために,NALC-NaOH処理のみとNALC-NaOH処理にアシッドプラスを添加したNALC-NaOH-酸処理との間で,Mycobacteria Growth Indicator Tube(MGIT,日本ベクトン・ディッキンソン,以下日本BD)法による培養結果をもとに比較検討した。抗酸菌培養陽性率は,NALC-NaOH処理,NALC-NaOH-酸処理ともに20.3%(130/640)で,一致率は95.6(612/640)%であった(w.s. )。雑菌汚染率は,NALC-NaOH処理のみでは12.5%(80/640),酸処理剤を加えた場合0.9%(6/640)であった。抗酸菌培養陽性日数は,NALC-NaOH処理のみでは平均値11日(1~40日),酸処理剤を加えた場合平均値14日(1~48日)であった。以上より,アシッドプラスを用いた酸処理法は,抗酸菌発育に及ぼす影響を最小限に抑え,雑菌汚染を大幅に軽減することが可能であり,効率のよい抗酸菌培養検査を行う上で有用な前処理法の1つとなり得ることが示唆された。 |
Keywords |
抗酸菌, N-acetyl-L-cysteine, アシッドプラス, MGIT, 前処理法 |
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