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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 Mycoplasma感染症診断におけるLAMP法を用いたMycoplasma pneumoniaeDNA検出の有用性と従来法(培養法・血清学的検査法)の比較検討
論文言語 J
著者名 杵渕 貴洋1), 加野 大樹1), 角谷 不二雄2), 田中 亮介2), 藤保 洋明2)
所属 1)社会福祉法人北海道社会事業協会富良野病院臨床検査科
2)社会福祉法人北海道社会事業協会富良野病院小児科
発行 臨床微生物:23(2),87─94,2013
受付 平成25年1月8日
受理 平成25年4月3日
要旨  マイコプラズマ感染症診断におけるloop-mediated isothermal amplification法(LAMP法)の有用性について,培養法,PCR法,及び血清学的検査法の成績を加え検討した。また,LAMP法陽性検体では,macrolide系抗菌薬の耐性についても検索した。検討症例数はマイコプラズマ感染症を疑った小児167症例である。検体はLAMP法及び培養法に咽頭粘液を用い,血清学的検査法ではenzyme immunoassay(EIA法)とparticle agglutination test(PA法)の2法を用いた。LAMP法では,19症例(11.4%)が陽性となりLAMP法陽性検体では培養法も全て陽性となった(一致率100%)。また,PCR法との比較では1例でPCR法陰性となった(一致率94.7%)。LAMP法陽性例では,EIA法陽性は7例(36.8%)であり,シングル血清を用いたPA法で6症例(31.6%)が陽性,ペア血清が採取可能であった14症例のPA法では全症例(100%)が陽性となった。なお,LAMP法陰性例では,培養法も全て陰性であった。また,LAMP法陽性検体を用いたmacrolide系抗菌薬耐性Mycoplasma pneumoniaeの検出成績は,89.5%の耐性であった。1症例で,LAMP法陰性,ペア血清を用いたPA法で血清抗体価が上昇した症例が存在したが,第6病日目に再検査した結果,LAMP法が陽性となった。本症例は,初診時に咳嗽を認めなかったことがLAMP法陰性となった原因の1つと考えられた。以上の成績より,LAMP法の信頼度評価は,感度95%,特異度100%,偽陽性率0%,偽陰性率5%であり,マイコプラズマ感染症診断におけるLAMP法は非常に有用性の高い検査法であると言える。
Keywords LAMP法, Mycoplasma pneumoniae, マイコプラズマ肺炎, マイコプラズマIgM抗体
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