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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 マクロライド系抗菌薬に高度耐性を示した臨床材料由来Moraxella catarrhalisの解析
論文言語 J
著者名 山田 景土1), 柏 真知子1), 風間 晴子2), 齋藤 良一3)
所属 1)公益財団法人東京都保健医療公社豊島病院検査科
2)東京都立墨東病院検査科
3)東京医科歯科大学大学院保険衛生学研究科生体防御検査学分野
発行 臨床微生物:23(2),95─101,2013
受付 平成24年8月27日
受理 平成25年4月18日
要旨  Moraxella catarrhalisは,呼吸器感染症の原因菌のひとつとして臨床材料から高頻度に分離される。今回,我々は臨床材料より分離されたマクロライド系抗菌薬(MLs)に高度耐性を示したM. catarrhalis耐性因子について解析を行ったので報告する。Disk拡散法による薬剤感受性検査では,clarithromycin(CAM)における阻止円は認められず,E-testを用いて測定したCAMのMIC値は>256 μg/mLと高値を示した。MLs耐性遺伝子であるmefAermAermBおよびermC遺伝子検索では,どの遺伝子も検出されなかった。23S rRNAにおけるドメインV領域の塩基配列解析は,2058番目のアデニンがチミンに置換されていた(A2058T;Escherichia coli numbering)。この23S rRNA遺伝子の変異は,MLs高度耐性化に関連していることが示唆された。今後,M. catarrhalisにおけるMLs高度耐性株の更なる耐性メカニズムの解明および分離頻度の動向に注意していく必要があると考えられた。
Keywords 23S rRNA, Moraxella catarrhalis, マクロライド系抗菌薬高度耐性, clarithromycin
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