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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 Mycobacterium intracellulareの遺伝子型とクラリスロマイシン感受性の検討
論文言語 J
著者名 吉田 志緒美1), 富田 元久2)
所属 1)独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター臨床研究センター
2)独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター臨床検査科
発行 臨床微生物:23(3),203─212,2013
受付 平成25年5月20日
受理 平成25年7月29日
要旨  本研究はMycobacterium intracellulare呼吸器臨床分離株の菌遺伝子型並びにクラリスロマイシン感受性について評価することを目的とした。独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センターにて分離された80株を対象に16S rRNA遺伝子及び16S-23S ITS領域のシークエンスによる遺伝子型の分類を行い,並びに微量液体希釈測定法にて感受性を決定した。MICが8 mg/L以上を示した株について23S rRNA上の耐性遺伝子の有無を確認した。同時期に分離されたM. avium 179株についても感受性と耐性遺伝子の有無について検討を行った。遺伝子型解析の結果,M. intracellulareは8種類の遺伝子型に分類され,そのうちMin-Aが66株と最も多かった。肺非結核性抗酸菌症の診断基準を満たしていた肺M. intracellulare症例は73症例であった。細分化されたM. intracellulare遺伝子型は地域ごとに異なる優位性をもつ傾向が示唆され,M. intracellulare症の発症頻度はその菌遺伝子型に依存している可能性があると考えられた。また,M. intracellulareM. aviumのMIC分布は共に2峰性であり,MIC50,MIC90は2ないし8と同程度であった。MIC 32 mg/L以上の耐性M. avium株は8株存在したのに対し,M. intracellulareは5株であり,すべてMin-Aであった。MICが8および16 mg/Lの株に耐性遺伝子変異は認められなかったが,耐性株はM. aviumの2株を除いて,すべて変異を有していた。遺伝子型と耐性株の関係を明らかにするには今後,耐性株の蓄積が必要である。
Keywords M. intracellulare, ITS sequence, genetic distribution, pulmonary infection disease, clarithromycin
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