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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
羊水よりHelicobacter cinaediを分離した妊婦の1症例 |
論文言語 |
J |
著者名 |
原 祐樹1), 川島 誠1), 城殿 麻利子1), 浅井 幸江1), 野村 勇介1), 山田 直輝1), 伊藤 守1), 八木 哲也2) |
所属 |
1)名古屋第二赤十字病院医療技術部検査病理科
2)名古屋大学大学院医学系研究科臨床感染統御学 |
発行 |
臨床微生物:23(3),219─224,2013 |
受付 |
平成25年3月27日 |
受理 |
平成25年6月5日 |
要旨 |
我々は,Helicobacter cinaedi(H. cinaedi)による羊水感染を来たした妊婦症例を経験したので報告する。34歳女性,生来健康で特筆すべき既往症はない。かかりつけの産婦人科クリニックで切迫早産の診断を受け,当院へ転院搬送となった。来院時の検査所見で子宮内感染が疑われ,羊水検査が施行された。羊水のグラム染色では,非常に細いグラム陰性桿菌が観察された。培養96時間後に嫌気培養で発育が確認され,菌種は16S rRNA塩基配列による系統解析によってH. cinaediと同定された。治療はcefotiam 1 g×4/日で開始し,第5病日には炎症反応の改善が認められたことから,cefdinir内服に変更され,第9病日に退院となった。妊婦のH. cinaediによる羊水感染例は,我々が調べた範囲内では非常に稀であった。培養に特殊な条件が必要であり,同定も困難であるため,グラム染色所見から本菌も想定して分離培養を行うことが重要である. |
Keywords |
Helicobacter cinaedi, 羊水, 妊婦 |
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