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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 Nocardia farcinicaが分離・同定された7症例の臨床細菌学的検討
論文言語 J
著者名 森永 朝美1), 大楠 清文2), 浅野 裕子1), 後藤 孝司1), 鳥居 知美1), 浅野 麻衣1)
所属 1)大垣市民病院診療検査科
2)岐阜大学大学院医学系研究科病原体制御学分野
発行 臨床微生物:23(3),225─232,2013
受付 平成25年4月12日
受理 平成25年6月10日
要旨  ノカルジア症は,慢性閉塞性肺疾患,気管支拡張症などの呼吸器疾患や糖尿病などの免疫不全宿主の感染症として重要である。当院にて2007年1月からの4年間に臨床検体よりNocardia farcinicaが分離された7症例について臨床細菌学的検討を行った。全症例において検体のグラム染色で分岐したフィラメント状のグラム陽性桿菌を認め,さらにKinyoun染色で抗酸性を示したため,Nocardiaが疑われることを迅速に主治医へ報告した。全症例に基礎疾患があり,3例は免疫抑制療法が行われていた。Nocardia属の細菌を検出するためには長期間の培養が必要である。そのためには,患者の基礎疾患や免疫抑制剤の投与中であるかを含めた患者情報と治療経過を把握しながら,塗抹標本を注意深く観察して培養期間を延長することが重要である。また,Nocardia属菌は菌種によって薬剤感受性パターンが異なるため,適切な治療には正確な菌種同定と薬剤感受性試験の実施が大切である。
Keywords Nocardia farcinica, ノカルジア症, グラム染色, Kinyoun染色, 16S rDNA
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