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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
PenicillinGに高度耐性かつ多剤耐性を示したGranulicatella adiacensが分離された複数菌敗血症性ショックの一例 |
論文言語 |
J |
著者名 |
古垣内 美智子1), 江成 博3), 吉田 敦4,5), 奥住 捷子4), 戸田 宏文1), 宇都宮 孝治1), 松浦 宏美1), 山口 逸弘1), 上硲 俊法2) |
所属 |
1)近畿大学医学部附属病院中央臨床検査部
2)近畿大学医学部附属病院臨床検査医学
3)極東製薬工業研究開発部顧問
4)獨協医科大学病院感染制御センター
5)獨協医科大学感染制御・臨床検査医学講座 |
発行 |
臨床微生物:24(2),138─145,2014 |
受付 |
平成25年11月29日 |
受理 |
平成26年2月16日 |
要旨 |
敗血症性ショックを起こした患者の血液培養からPseudomonas aeruginosaと同時にnutritionally variant streptococci(NVS)を分離した。患者は46歳男性,ベーチェット病,慢性腎不全を有し,Bentall手術により大動脈弁置換,胸部大動脈人工血管置換後であり,入院前の3カ月間,不明熱で繰り返し様々な抗菌薬を投与されていた。NVSはVITEK2ではGranulicatella elegans,ラピッドID32ストレップアピではG. adiacensと同定された。追加の馬尿酸・アルギニン加水分解試験は陰性であった。16S rRNA遺伝子解析ではG. adiacensとの相同性が100%でありG. adiacensと最終同定した。
薬剤感受性検査はClinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)M45-A2に準拠し行った。その結果,G. adiacensのpenicillinG(PCG)のMICは16 μg/ml,MBCは>512 μg/ml,MBC/MICは>32であり,PCGに高度耐性かつtolerance株であった。さらにセフェム系,カルバペネム系,マクロライド系等に多剤耐性を示した。現在,このようなPCGに高度耐性かつ多剤耐性株の報告はない。NVSには本症例のような多剤耐性株も存在するため,迅速かつ正確な同定・薬剤感受性検査が必要である。 |
Keywords |
nutritionally variant streptococci, penicillin tolerance, penicillin resistance, Granulicatella adiacens, 多剤耐性 |
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