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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
Pyrosequencing法を用いた臨床分離抗酸菌株に対する同定法の精度評価 |
論文言語 |
J |
著者名 |
吉田 志緒美1), 富田 元久2) |
所属 |
1)独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター臨床研究センター
2)独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター臨床検査科 |
発行 |
臨床微生物:25(1),26─33,2014 |
受付 |
平成26年5月13日 |
受理 |
平成26年9月8日 |
要旨 |
臨床分離された抗酸菌に対し,pyrosequencing法を用いた同定法の精度評価を行った。対象はNHO近畿中央胸部疾患センターにおいて新規に分離された抗酸菌100株とした。日常検査にて市販キットとコロニー性状から得られた判定結果と,pyrosequencing法,従来のサンガーシークエンス法による結果を比較検討した。その結果,93株のpyrosequencing法並びにサンガーシークエンス法の結果は日常検査の結果と一致した。不一致となった7株のうち3株はサンガーシークエンス法と日常検査の同定結果は一致したが(M. avium complex 1株,M. parascrofulaceum 2株),pyrosequencing法とは異なった。また,1株は日常検査ではM. peregrinumと同定されたが,pyrosequencing法とサンガーシークエンス法ではM. mageritenseと同定された。残り3株は日常検査でRunyon分類でのみ判定されたが,pyrosequencing法,サンガーシークエンス法の結果では異なる分類に属する菌種が同定された(IV群菌はTsukamurella sp,III群菌はM. szulgaiもしくはM. angelicum,II群菌はM. colombienseもしくはM. bouchedurhonense)。Pyrosequencing法は日常検査で同定できない株に対しても菌種同定が可能であったが,いくつかの株で複数の菌種を同定することがあり,結果の解釈には注意が必要であった。臨床現場では日常検査と並行してpyrosequencing法を実施することにより正確な抗酸菌同定が可能となると考えられた。 |
Keywords |
Pyrosequencing法, 抗酸菌, 同定, 16S rRNA遺伝子 |
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