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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 Modified Hodge Testにおけるエルタペネムディスクの有用性の評価および検査精度向上の試み
論文言語 J
著者名 村 竜輝1), 川村 久美子1), 荒川 宜親2)
所属 1)名古屋大学大学院医学系研究科・医療技術学専攻・病態解析学
2)名古屋大学大学院医学系研究科・総合医学専攻・分子病原細菌学/耐性菌制御学
発行 臨床微生物:25(1),42─51,2014
受付 平成26年7月1日
受理 平成26年9月16日
要旨  カルバペネマーゼ産生菌100株および非産生菌45株を用いて,modified Hodge test(MHT)におけるエルタペネム(ertapenem,ERT)ディスクの有用性を評価した。ERT,イミペネム,メロペメム(meropenem,MEPM)ディスクの感度は93%,82%,83%であり,3剤のなかでERTディスクの感度が最も優れていた。ERTディスクは,Pseudomonas属菌27株中3株およびAcinetobacter属菌19株中2株を,カルバペネマーゼ別ではOXA-23型4株中1株およびVIM-1型の1株を検出することができなかったが,NDM-1産生菌のように複数のβ-ラクタマーゼを同時産生する株については,他の2薬剤よりも正確に検出することができた。一方,extended-spectrum β-lactamase産生菌やPseudomonas属菌を対象とした特異度の検討では,MEPMディスク(43/45株,95.6%)よりもERTディスク(40/45株,88.9%)の方が低くなる傾向が認められたが,β-ラクタマーゼ阻害剤であるクラブラン酸もしくはクロキサシリンの添加により偽陽性株が5株から1株に減り特異度が向上した。MHTのような表現型試験の判定には経験を要し,また,明確な数値設定がないため測定者間で差異が生じる場合があるが,ERTディスクは阻止円が明瞭であるため判定が容易で,他の2薬剤よりも測定者間の差が生じ難い利点もあった。適切な治療薬の選択および感染制御の面から,カルバペネマーゼ産生菌の正確な検出は今後益々重要になると思われる。MHTにおけるERTディスクの使用は日常検査におけるカルバペネマーゼ産生菌の検出に有用であると思われる。
Keywords modified Hodge test, エルタペネムディスク, カルバペネマーゼ産生菌
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