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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 チフス菌・パラチフス菌の薬剤感受性に関する3年間の検討
論文言語 J
著者名 山田 浩司1), 目崎 和久1), 永松 麻希2,3), 大曲 貴夫2)
所属 1)国立国際医療研究センター病院中央検査部門
2)国立国際医療研究センター病院国際感染症センター
3)国立国際医療研究センター研究所感染症制御研究部
発行 臨床微生物:25(2),92─98,2015
受付 平成26年6月2日
受理 平成26年10月2日
要旨  フルオロキノロン低感受性サルモネラの増加が臨床上問題となり,CLSI M100-S23においてチフス菌および腸管外サルモネラのフルオロキノロンに対する判定基準が引き下げられた。2010年9月~2013年8月の間に当院で分離されたSalmonella enterica subsp. enterica serovar Typhi 3株,Salmonella enterica subsp. enterica serovar Paratyphi A 11株の計14株について分析すると,CLSI M100-S19判定基準においてフルオロキノロン感性でnalidixic acid(NA)耐性を示した10株(71.4%)の全てがCLSI M100-S23判定基準ではフルオロキノロンに中間もしくは耐性と判定された。また,NA感性3株(21.4%)中1株にlevofloxacinに中間を示す株が認められた。NA感性株は全てカンボジア渡航者から,NA耐性株はインドなど南アジア渡航者から多く分離された。インド渡航者からはフルオロキノロン高度耐性S. Typhi,Extended-spectrum β-lactamase産生S. Paratyphi Aも分離された。チフス性疾患の治療には渡航先に応じた抗菌薬選択が必要で,判定基準が変更されたことでフルオロキノロン低感受性サルモネラをより鋭敏に検出される可能性が示唆された。
Keywords Salmonella enterica subsp. enterica serovar Typhi, Salmonella enterica subsp. enterica serovar Paratyphi A, CLSI M100-S23, フルオロキノロン低感受性サルモネラ, nalidixic acid耐性
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