学会誌

日本臨床微生物学会雑誌

書誌情報


download PDF Full Text of PDF (251K)
Article in Japanese

論文名 MRSAに対するVancomycinのMIC値の測定方法による差異と臨床的有用性
論文言語 J
著者名 口広 智一1), 平井 一成2), 蓬台 克之1), 阪野 和重3), 山家 宏宣4)
所属 1)公立那賀病院中央検査科
2)公立那賀病院乳腺・呼吸器外科
3)公立那賀病院薬剤部
4)公立那賀病院小児科
発行 臨床微生物:25(2),131─137,2015
受付 平成26年5月29日
受理 平成26年10月24日
要旨  MRSAにおいてVancomycinのMIC 2.0 μg/mLを示す株はCLSI基準では感性に分類されるが,米国感染症学会などが勧告しているAUC24/MIC≥400の達成が難しくVCM治療が効果的でない場合がある。そのためVCMのMIC値は正確に測定する必要があるが,測定方法により差異が生じる事が問題となっている。今回われわれはMRSA感染症を疑い抗MRSA薬が使用されていた症例から分離された49株を対象にVITEK2, Etest,ドライプレート(DP)の3法にてVCMのMIC値を測定し,比較検討を行った。その結果,各測定法でのMIC50とMIC90はVITEK2法では0.5, 1 μg/mL, Etest法では1, 2 μg/mL, DP法では0.75, 1 μg/mLであり差異を認めた。また,対象内で真のMRSA感染症と診断された28症例について,各法で得られたMIC値とTDMの結果からAUC24/MICを算出し,VCM治療の臨床的有効性との関係を解析して各測定法の評価を行った。その結果,最も臨床効果と相関を認めたのはDP法であり,次いでVITEK2法,Etest法の順であった。MRSA感染症におけるVCM治療の際は,測定方法によるMIC値の差異とその特徴を考慮する必要がある。
Keywords MRSA, Vancomycin, MIC, PK/PD理論, AUC24/MIC
Copyright © 2002 日本臨床微生物学会 All rights reserved.