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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
抗菌薬治療経過中に遊離型コアグラーゼの産生能が低下したMRSAの解析 |
論文言語 |
J |
著者名 |
古垣内 美智子1), 三澤 慶樹3), 吉田 敦4,5), 奥住 捷子4), 田原 由子1), 戸田 宏文1), 宇都宮 孝治1), 松浦 宏美1), 上硲 俊法2) |
所属 |
1)近畿大学医学部附属病院中央臨床検査部
2)近畿大学医学部附属病院臨床検査医学
3)東京大学医学部附属病院感染制御部
4)獨協医科大学病院感染制御センター
5)獨協医科大学感染制御・臨床検査医学講座 |
発行 |
臨床微生物:25(3),204─212,2015 |
受付 |
平成26年10月2日 |
受理 |
平成27年2月10日 |
要旨 |
敗血症を起こした66歳男性の血液培養から抗菌薬治療前と治療経過中にmethicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)を分離した。
分離したMRSAは,ウサギプラズマ‘栄研’(栄研化学)による結合型コアグラーゼはともに陰性,遊離型コアグラーゼは治療前のMRSAでは陽性であったが,治療経過中のMRSAでは陰性となった。しかし,治療経過中のMRSAはパールコアトリプトソイブイヨン‘栄研’などで溶解したウサギプラズマ‘栄研’の遊離型コアグラーゼは24時間で陽性を示した。コアグラーゼ力価は治療前のMRSAでは2 MCD/hr,一方治療経過中のMRSAでは<1 MCD/hrと低下していた。ラテックス凝集試薬では分離したMRSA 2株はともに,PSラテックス‘栄研’(栄研化学)とスタフィロLA「生研」(デンカ生研)は陰性,Pastorexスタッフプラス(BIO-RAD)とドライスポットスタフィテクトプラス(関東化学)は陽性であった。また,MRSA 2株はPOT型93-217-107,SCCmec type IIaと一致した遺伝子型を示し,コアグラーゼを除いて,コロニー性状,マンニット分解,DNase産生,同定検査(VITEK2,MALDI Biotyper(BRUKER),Multiplex PCR)はS. aureusと一致した。
抗菌薬治療経過中に遊離型コアグラーゼの産生能が低下したMRSAは初報告である。遊離型コアグラーゼの産生能が低下したMRSAの同定は,coagulase-negative staphylococciと誤同定しないために注意が必要である。 |
Keywords |
コアグラーゼ産生低下MRSA, コアグラーゼ試験, MRSA敗血症, ウサギプラズマ, 遊離型コアグラーゼ |
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