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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
Moraxella nonliquefaciensによる角膜潰瘍の1症例 |
論文言語 |
J |
著者名 |
大野 達也1), 田中 洋輔1), 安西 桃子1), 小松 奈央1), 大柳 忠智2), 秋田 博伸3) |
所属 |
1)聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院臨床検査部
2)聖マリアンナ医科大学病院臨床検査部
3)聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院小児科 |
発行 |
臨床微生物:25(3),234─240,2015 |
受付 |
平成26年11月12日 |
受理 |
平成27年2月19日 |
要旨 |
今回われわれはMoraxella nonliquefaciensによる角膜潰瘍の症例を経験した。検索し得た範囲内では,角膜潰瘍からの検出は世界初の報告である。症例は基礎疾患に糖尿病を有する81歳の男性。左眼角膜中央に5~8 mmの硬い潰瘍を認め,採取された角膜擦過物からM. nonliquefaciensが検出された。角膜擦過物のグラム染色にて大型でかくばったグラム陰性双桿菌を認め,培養検査では光沢のある半透明な集落の周囲に,培地の表面を這うような拡がりが認められた(spreading colony)。本菌は特徴的な生化学的性状を示さないため,従来法での同定は困難である。また,使用する培地の種類により集落性状が異なり,各施設で使用している培地における集落性状を把握しておかないと,同定に難渋すると考えられる。角膜潰瘍は近年増加している疾患であり,起因菌も時代背景に伴い変化してきた。M. nonliquefaciensの病原性や細菌学的性状を明らかにする上で,症例報告の蓄積が不可欠であると考えられ,正確な同定を行うために遺伝子解析や質量分析を活用する必要があると考えられた。 |
Keywords |
Moraxella nonliquefaciens, 角膜潰瘍, spreading colony |
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