学会誌

日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 Streptococcus agalactiaeにおけるβ-ラクタム系薬剤低感受性化に関する検討
論文言語 J
著者名 楠木 まり1), 中村 竜也1,2), 小林 沙織1), 小林 泰菜1), 大沼 健一郎1), 矢野 美由紀1), 直本 拓己1,2), 中村 正邦1), 林 伸英1), 木村 幸司3), 荒川 宜親3), 吉田 弘之2), 荒川 創一2)
所属 1)神戸大学医学部附属病院検査部
2)神戸大学医学部附属病院感染制御部
3)名古屋大学大学院医学系研究科分子病原細菌学/耐性菌制御学
発行 臨床微生物:25(4),283─289,2015
受付 平成27年1月30日
受理 平成27年5月7日
要旨  Streptococcus agalactiae(Group B Streptococci:GBS)感染症の治療には主にペニシリン系抗菌薬が使用されるが,近年Penicillin Binding Protein(PBP)の変異によるβ-ラクタム系薬剤の低感受性化が注目されている。そこで,2006~2013年に神戸大学医学部附属病院臨床材料より分離されたGBS72株についてPRGBS(GBS with reduced penicillin susceptibility)のスクリーニングを行った。penicillin G(PCG)のMICは全株≤0.12 μg/mLで上昇は認められなかった。ceftibuten(CETB)を用いたディスク拡散法にて,阻止円径は15~21 mmに分布し,72株中33株で阻止円内にコロニーの発育を認めた。阻止円内コロニーを増菌し再度CETBを用いたディスク拡散法を行うと阻止円を形成しなかった。この現象が確認された任意の6株では,PBP2XにS353Y,I373N,T394I,F399Vのアミノ酸置換を認めた。これらはPRGBSのPBP2Xにおいて過去に報告されたものと同一かその近傍のアミノ酸置換であったが,PRGBSのPBP2Xに特徴的な置換であるV405AやQ557Eは検出されなかった。以上より,これらの現象はβ-ラクタム系薬剤低感受性化の前段階を捉えている可能性が示唆された。
Keywords PRGBS, PBP2X, ceftibuten disk, β-lactam
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