学会誌

日本臨床微生物学会雑誌

書誌情報


download PDF Full Text of PDF (220K)
Article in Japanese

論文名 Pyrazinamide薬剤感受性試験法の評価
論文言語 J
著者名 青野 昭男, 近松 絹代, 五十嵐 ゆり子, 高木 明子, 山田 博之, 御手洗 聡
所属 結核予防会結核研究所部細菌科
発行 臨床微生物:25(4),314─319,2015
受付 平成27年5月26日
受理 平成27年6月22日
要旨  近年Pyrazinamide(PZA)の薬剤感受性試験について,pyrazinamidase(PZAse)およびpncA遺伝子変異との間での結果の乖離や,表現型薬剤感受性試験が判定基準に一致せず判定保留となるなどの問題点が指摘されている。今回,我々は本邦で分離された多剤耐性結核菌77株を用いて,PZAse試験を基準とし,極東PZAおよびMGIT PZAによる表現型薬剤感受性試験とpncA遺伝子変異の有無による耐性判断について,それぞれの方法における検査精度を評価した。  結果として,PZAse陽性を以てPZA感受性とした場合,極東PZAは感度88.1%,特異度85.7%,一致率87.0%,Kappa係数0.77であった。MGIT PZAは感度100%,特異度80.0%,一致率90.9%,Kappa係数0.81であった。pncA遺伝子変異は感度100%,特異度97.1%,一致率98.7%,Kappa係数0.97であった。PZAseの成績と最も一致したものはpncA遺伝子変異の同定であった。極東PZAにおいて判定保留が9株(11.7%)認められ,検査精度への影響を認めた。  今回の検討により,結核菌の発育を評価する感受性試験はカットオフ値に問題があり,特に境界付近で臨床的に不正確である可能性が示された。現時点では積極的な遺伝子診断の利用が正確な感受性を示すものと考えられた。
Keywords Pyrazinamide薬剤感受性試験, pyrazinamidase, pncA遺伝子変異
Copyright © 2002 日本臨床微生物学会 All rights reserved.