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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
肺炎マイコプラズマ分離用培地の改良および薬剤感受性試験法の検討 |
論文言語 |
J |
著者名 |
奥野 ルミ1), 久保田 寛顕1), 内谷 友美1), 大屋 日登美2), 平井 昭彦1), 甲斐 明美1), 貞升 健志1) |
所属 |
1)東京都健康安全研究センター微生物部
2)神奈川県衛生研究所微生物部 |
発行 |
臨床微生物:26(2),90─96,2016 |
受付 |
平成27年6月23日 |
受理 |
平成27年11月11日 |
要旨 |
近年,マクロライド系薬剤耐性Mycoplasma pneumoniaeが増加しており,その動向を把握することがより重要となっている。本報では,従来の分離培地及び薬剤感受性試験法を改善する検討を行ったので報告する。
M. pneumoniaeの分離培養の際に,PCR法陽性となった咽頭ぬぐい液であっても,雑菌の増殖等により目的菌の分離が困難な場合が多かった。そこで,従来からM. pneumoniaeの分離培地として用いられているPPLO液体培地の改良を行った。改良した培地を用いてマイコプラズマ感染症疑い患者108名の咽頭ぬぐい液から,M. pneumoniaeの分離を実施した結果,雑菌の増殖を抑制しPCR法陽性31検体のうち22検体(67.7%)から菌を分離することができた。
次に,従来から行われている微量液体希釈法は,薬剤の入手から濃度調製,分注等を行うなど煩雑であり手間が掛かるため,簡便なドライプレートを用いた方法を検討した。その結果,標準株(M129-B7株)ではMIC値で1管差であり,従来法とほぼ同等の値が得られた。本法を用いて臨床分離株18株について薬剤感受性試験を実施したところ,15株(83%)がerythromycin(EM)耐性となった。
今回検討した方法を用いることで,M. pneumoniaeの分離率が向上すると共に薬剤感受性試験が容易になることから,さらに多くの実態調査や解析が可能となると考えられる。 |
Keywords |
Mycoplasma pneumoniae, 分離培地, 薬剤感受性試験法 |
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