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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 比較的まれな非結核性抗酸菌臨床株を対象としたMALDI-TOF MSによる同定性能の評価
論文言語 J
著者名 鈴木 弘倫1), 吉田 敦1,2,3), 樽川 友美1), 岡本 友紀1), 渡辺 可菜1), 小林 優貴1), 淺田 道治1), 奥住 捷子3), 福島 篤仁1,2,3), 及川 信次1), 鹿住 祐子4), 菱沼 昭1,2)
所属 1)獨協医科大学病院臨床検査センター
2)獨協医科大学感染制御・臨床検査医学講座
3)獨協医科大学病院感染制御センター
4)結核予防会結核研究所抗酸菌部結核菌情報科
発行 臨床微生物:26(2),105─111,2016
受付 平成27年10月21日
受理 平成28年1月6日
要旨  今回,比較的まれな非結核性抗酸菌(nontuberculous mycobacteria;NTM)を対象としたMALDIバイオタイパー(Bruker Daltonics)による同定性能の評価を行った。対象は臨床分離NTM50株(迅速発育抗酸菌37株,遅発育抗酸菌13株)とし,遺伝子解析とMALDIバイオタイパーの測定結果を比較した。MALDIバイオタイパーのScore Value 1.700以上2.000未満を属レベルの判定とし,2.000以上を種レベルの判定とした。MALDIバイオタイパーの結果は,遺伝子結果と比較して属レベルでは96.0%(48/50株)一致し,種レベルまで一致したのは84.0%(42/50株)だった。遺伝子検査で菌種が決定されたがMALDIバイオタイパーでScore Valueが1.700以下で同定不能となったのは2株で,M. paraffinicum 1株,M. wolinskyi 1株であった。属レベルまでの一致を示したものは6株(Mycobacterium abscessus complex 1株, M. chelonae 4株,M. septicum 1株)であったが,Score Valueで最も上位に挙げられた菌種名は遺伝子検査と一致していた。今回,臨床分離株においてMALDIバイオタイパーは,遺伝子解析と比較しても良好な同定精度が確認された。しかし,検討できた株数は少ないため,データベースの充実と合わせ,今後も同定性能を確認していく必要がある。
Keywords MALDI-TOF MS, 非結核性抗酸菌, 菌種同定
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