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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
TCBS寒天培地に発育不良な非典型的なVibrio cholerae O139の1例 |
論文言語 |
J |
著者名 |
菅野 恵未1), 森下 良美1), 中島 祐理香1), 立石 裕子1), 小武 春花1), 宇賀神 和久1), 田原 佐知子1), 吉田 勝彦1), 福地 邦彦2) |
所属 |
1)昭和大学病院臨床病理検査室
2)昭和大学病院臨床病理診断科 |
発行 |
臨床微生物:26(2),119─123,2016 |
受付 |
平成27年10月9日 |
受理 |
平成27年11月10日 |
要旨 |
今回我々は非典型的なVibrio choleraeを経験した。症例は54歳男性。3ヶ月間アジア各国を周り帰国後,突然の水様性の下痢と軽度の嘔気を自覚した。腹痛は無かったが全身に筋痙攣を認めたため,当院救急外来を受診した。便培養で,乳糖非分解のグラム陰性桿菌が多数検出された。TCBS寒天培地での菌の発育は陰性,生化学性状はオキシダーゼ(+),TSI(+/+),ガス産生(+),硫化水素(-),インドール(+),運動性(+),IPA(-),CIT(-),VP(+),リジン(+),DNase(+)であった。自動機器(WalkAway96)と同定キット(api20E)ではそれぞれV. cholerae 94.9%と99.9%であった。16SrRNA領域の塩基配列は99%V. choleraeと一致した。抗血清のO139に凝集を認め,コレラ毒素遺伝子陽性であったことからV. cholerae O139による「コレラ」と確定した。 |
Keywords |
Vibrio cholerae, O139, ベンガル型コレラ, TCBS, 海外旅行者下痢症 |
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