|
日本臨床微生物学会雑誌
|
書誌情報
論文名 |
Raoultella ornithinolyticaによる菌血症を伴った憩室炎を発症した1症例 |
論文言語 |
J |
著者名 |
宇野 俊介1), 馳 亮太1), 橋本 幸平2), 戸口 明宏2), 大塚 喜人2), 細川 直登1) |
所属 |
1)亀田総合病院感染症科
2)亀田総合病院臨床検査部 |
発行 |
臨床微生物:26(2),136─140,2016 |
受付 |
平成27年8月7日 |
受理 |
平成27年11月27日 |
要旨 |
Raoultella ornithinolyticaは,ヒスタミンを産生しScombroid中毒(サバ中毒)を起こす菌として知られるが,ヒトでの菌血症の報告は少ない。今回我々は憩室炎に伴うR. ornithinolytica菌血症の症例を経験した。本態性血小板血症を基礎疾患に持つ88才の男性が倦怠感および血便を主訴に受診した。CTの所見から憩室炎の診断で入院し,ampicillin/sulbactamで14日間の治療を行い治癒した。入院時に採取した血液培養が陽性となり,生化学的性状ではKlebsiella ornithinolyticaと同定された。16SrRNAシークエンス解析ではR. ornithinolyticaとEnterobacter aerogenesのどちらにも99%の相同性があり,遺伝子検査のみでは同定が困難であった。R. ornithinolytica菌血症はこれまでに報告例が少なく,憩室炎の原因菌としての報告はない。また非担癌患者における発症の背景,予後などは分かっておらず,今後の症例の蓄積が望まれる。 |
Keywords |
Raoultella ornithinolytica, Klebsiella ornithinolytica, 16S rRNA, MALDI-TOF |
|