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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
喀痰材料を対象とした抗酸菌用液体培養におけるアルカリ前処理の改良 |
論文言語 |
J |
著者名 |
富田 元久1), 吉田 志緒美2), 木原 実香1) |
所属 |
1)独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター臨床検査科
2)独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター臨床研究センター |
発行 |
臨床微生物:26(2),148─152,2016 |
受付 |
平成27年10月13日 |
受理 |
平成28年1月13日 |
要旨 |
抗酸菌液体分離培養に用いる除菌前処理の過程は煩雑である。今回,アルカリ処理後の遠心操作を省略した方法(以下:改良法)の有用性を検証した。2014年7月から8月までの抗酸菌培養検査依頼があった喀痰206件と喀痰206件中,PCR検査依頼があった26件を対象とし,SAP-NALC/NaOH処理した試料と改良法で処理した試料を各々TaqManPCR(ロシュ・ダイアグノスティックス)とMGIT(日本ベクトン・ディッキンソン)を用いた培養の結果を比較した。PCR検査陽性数はSAP-NALC/NaOH法で18件,改良法で19件に認められ,両検体間の陽性一致率は96.2%となった。MGIT培養における陽性数はSAP-NALC/NaOH法39件,改良法46件となり,一致率は95.6%であった。また,雑菌汚染率はSAP-NALC/NaOH法1.5%,改良法2.4%であった。PCR陽性数,液体培養陽性数,雑菌汚染数の有意差は得られなかった。以上により,改良法は,SAP-NALC/NaOH法に比べて簡便であり,且つ雑菌汚染の軽減と菌体回収は同等の精度を有した。迅速抗酸菌に対しても良好な発育を可能としたため,抗酸菌液体分離培養の除菌前処理に有用な方法と考えられる。 |
Keywords |
MGIT, NALC/NaOH, セミアルカリプロテアーゼ, 冷却遠心操作, 2 mlマイクロチューブ |
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