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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
POT法で解明された当院新生児センターにおけるmethicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)アウトブレイクの伝播様式 |
論文言語 |
J |
著者名 |
山田 貴子1), 杉浦 康行1), 奥平 正美1), 稲富 里絵1), 巽 則雄1), 磯部 貴子1), 原 徹1), 岡村 武彦1), 犬塚 和久2), 鈴木 匡弘3) |
所属 |
1)安城更生病院Infection Control Team
2)愛知県厚生連医療事業部
3)愛知県衛生研究所生物学部細菌研究室 |
発行 |
臨床微生物:26(4),311─316,2016 |
受付 |
平成27年12月28日 |
受理 |
平成28年6月2日 |
要旨 |
当院新生児センターでは感染管理のために,入院時には咽頭,胃液,耳孔,入院後は週一回の鼻腔を対象としたmethicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)の監視培養を実施しており,月に1~2件の新規発生MRSAが検出される状況であった。今回,2011年に5ヶ月間で計19名の患児より新規にMRSAが検出されるアウトブレイク事例を経験した。同時期に検出された新生児センター以外の小児科由来株を含めた伝播経路の検討を行った。
アウトブレイクが発生した2011年の5ヶ月間に検出された新規発生MRSA 55株(新生児センター19株,小児病棟2株,小児科外来34株)を対象としPCR-based open reading frame typing(POT)法を実施した。あわせて表皮剥離毒素exfoliative toxin(ET-A,ET-B)遺伝子検出も行い,患者移動情報とあわせて解析した。
POT法によって55株はグループAからFの6グループと散発例に分類された。新生児センターの19株のうち,13株がグループA(POT型73-158-122,ET-B陽性)に分類され,速乾性手指消毒剤の使用量に大きな変動がないにもかかわらず,特に5ヶ月目に新規発生数を多く認めた。解析結果より,MRSA保菌患児とベッドが隣接している患児から同一クローンが検出されており,水平伝搬が疑われた。
POT法を用いた分子疫学的解析により水平伝搬が証明され,職員の意識が高まり,終息に繋がったと考えられた。 |
Keywords |
PCR-based ORF typing法, MRSA, outbreak |
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