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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
Globicatella sanguinisによる尿路感染症の1例 |
論文言語 |
J |
著者名 |
黒木 秀作1), 平松 和史2), 井上 早紀1), 三浦 慎和1), 上野 民生1), 札場 博貴3), 高橋 尚彦4) |
所属 |
1)大分大学医学部附属病院医療技術部臨床検査部門
2)大分大学医学部附属病院感染制御部
3)大分大学医学部脳神経外科
4)大分大学医学部循環器内科・臨床検査診断学講座 |
発行 |
臨床微生物:26(4),317─321,2016 |
受付 |
平成28年1月8日 |
受理 |
平成28年5月13日 |
要旨 |
Globicatella sanguinisはカタラーゼ陰性グラム陽性球菌であり,Streptococcus属に類似した性質を有する。我々は,本邦では報告の少ないG. sanguinisによる尿路感染症を経験した。症例は80歳代女性で,直腸癌の治療目的で当院紹介となった。直腸癌手術後に突然脳出血を起こし,加療中に発熱と混濁尿が認められたため尿培養検査が提出された。尿の色調は緑褐色で混濁しており,塗抹検査にて多数のグラム陽性球菌が観察された。分離された集落はヒツジ血液寒天培地にα溶血を示した。Rapid ID 32 Strepでは,Aerococcus viridansと同定され,VITEK2では,G. sanguinis(89%)と同定された。16S rRNA遺伝子解析では,99%の相同性でG. sanguinisと一致し,最終的にG. sanguinisと同定した。薬剤感受性試験結果よりampicillinが投与され,軽快した。G. sanguinisは敗血症,髄膜炎,尿路感染症の原因菌としていくつか報告されているが,日常検査において菌種レベルまで同定することは困難なため,その臨床的意義はあまりよく知られていない。本菌種の詳細な疫学解析のためには更なる症例の集積が重要である。 |
Keywords |
Globicatella sanguinis, カタラーゼ陰性グラム陽性球菌, 尿路感染症 |
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