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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
帝王切開術後に発症したMycoplasma hominis腹腔内感染による敗血症の1症例 |
論文言語 |
J |
著者名 |
西尾 美津留1), 宮木 祐輝1), 小川 有里子1), 大杉 崇人1), 森岡 悠2) |
所属 |
1)小牧市民病院臨床検査科
2)名古屋大学医学部附属病院中央感染制御部 |
発行 |
臨床微生物:27(1),23─28,2016 |
受付 |
平成28年4月19日 |
受理 |
平成28年8月12日 |
要旨 |
症例は38歳妊娠糖尿病合併患者。前期破水にて入院し,破水後3日目に母体の発熱,分娩停止のため緊急帝王切開術が施行された。術後も発熱が持続し,Ceftriaxoneを投与するも解熱は得られなかった。術後6日目,腹部のCT検査にて子宮前面に膿瘍形成を認めたため開腹ドレナージ術を施行。採取された腹水検体から血液寒天培地,チョコレート寒天培地およびABHK寒天培地上で,培養3日目にピンポイント状の微小なコロニーの発育を認めた。グラム染色を実施したが菌体は確認出来ず,グラム陰性に染まる顆粒を認めるのみであった。菌株は遺伝子解析によりMycoplasma hominisと同定された。
術後3日目に採取された血液培養2セットは,血液培養装置で7日間培養後,陰性と判定されたが,サブカルチャーを実施した結果,2セットすべてからM.hominisの発育が確認された。
臨床情報からM.hominis感染症を疑われた場合,臨床医に適切な培養採取を依頼し,また,検査技師は各種培養時間の延長や,血液培養装置の判定に関わらずボトル内容液のサブカルチャーを実施する事が必須と考える。 |
Keywords |
Mycoplasma hominis, 腹腔内膿瘍, 敗血症 |
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