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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 海外渡航歴のない患者から分離されたOXA-48型カルバペネマーゼ産生Klebsiella pneumoniae
論文言語 J
著者名 板垣 沙紀1), 田澤 庸子1), 菊地 勇治1), 古畑 由紀江1), 堀内 啓1), 柴山 恵吾2), 鈴木 里和2)
所属 1)NTT東日本関東病院臨床検査部
2)国立感染症研究所細菌第二部
発行 臨床微生物:27(1),41─47,2016
受付 平成28年7月28日
受理 平成28年10月12日
要旨  近年,OXA-48型カルバペネマーゼ産生菌が欧州各国を中心に拡がり問題となっている。これまで日本における本菌の報告は海外からの輸入例のみであったが,海外渡航歴のない患者からの検出を経験したため報告する。 患者は2012年4月に急性脳梗塞の手術を当院で受け,その後約2年間にわたり入退院を繰り返していた。最初の入院時より,基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生 Klebsiella pneumoniaeが喀痰等より継続して分離されていたが,2013年12月に提出されたカテーテル尿からimipenem(IPM)に耐性(MIC,>8 μg/mL)をしめすK.pneumoniaeが分離された。カルバペネマーゼ産生菌の可能性が疑われたため遺伝子学的検査を実施したところ,この菌株だけではなく,2012年に分離されたカルバペネム感性のESBL産生K. pneumoniaeもOXA-48型カルバペネマーゼ遺伝子を保有していたことが確認された。患者とその家族に海外渡航歴はなく,OXA-48型カルバペネマーゼ遺伝子を保有する菌が国内に潜在的に拡がっている可能性が示唆された。
Keywords OXA-48型カルバペネマーゼ産生Klebsiella pneumoniae, カルバペネム耐性腸内細菌科細菌, 基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生菌, modified Hodge test, CLSI M100-S22
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