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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 フルオロキノロン低感受性Salmonella enterica subsp. enterica serovar Paratyphi Aによる家族内感染事例
論文言語 J
著者名 酒井 朱厘1), 澤田 加奈1), 田口 真澄2)
所属 1)箕面市立病院中央検査部
2)大阪府立公衆衛生研究所
発行 臨床微生物:27(2),88─96,2017
受付 平成28年6月22日
受理 平成29年1月20日
要旨  2012年2月,2歳の男児(第一子)がインフルエンザ感染後の発熱持続を主訴に当院を受診し,血液培養からSalmonella enterica subsp. enterica serovar Paratyphi Aが検出された。父親・母親・第二子の3名の接触者検便でインド渡航歴があった父親からS. Paratyphi Aが分離された。2ヶ月後の4月,祖父が発熱・下痢・血便を呈し,糞便培養からS. Paratyphi Aが検出された。3名由来株について各種疫学マーカー解析を行ったところ,すべて同一であり,家族内感染事例と考えられた。本事例の分離株は全て南アジアで多いと報告されているフルオロキノロン低感受性菌であり,適切な治療を行うためにも今後の世界的な薬剤耐性菌出現動向を注視するとともに,チフス性疾患患者が受診した場合は本事例のような家族内感染を想定した検査や除菌治療,さらなる伝播の防止に努める必要がある。
Keywords Salmonella enterica subsp. enterica serovar Paratyphi A, 家族内感染事例, 疫学解析, パルスフィールドゲル電気泳動法(PFGE), フルオロキノロン低感受性サルモネラ
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