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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 外来患者におけるキノロン系薬の使用量・使用期間と尿路系由来Escherichia coliのlevofloxacin耐性率に関する検討
論文言語 J
著者名 佐村 優1), 柳田 季洋2), 廣瀬 直樹1), 倉田 武徳1), 石井 淳一1), 南雲 史雄1), 腰岡 桜1), 内田 仁樹1), 山本 隼也1), 井上 純樹1), 関根 寿一1), 國香 則文3), 國島 広之4)
所属 1)医療法人社団緑成会横浜総合病院薬剤科
2)医療法人社団緑成会横浜総合病院検査科
3)医療法人社団緑成会横浜総合病院内科
4)聖マリアンナ医科大学感染症学講座
発行 臨床微生物:27(3),149─157,2017
受付 平成28年12月8日
受理 平成29年2月21日
要旨  近年,Escherichia coliにおけるlevofloxacin(LVFX)耐性率は増加傾向であるため,各施設の動向,要因探索は重要である。一般的に,耐性菌と抗菌薬使用には密接な関係があるが,外来患者における経口キノロン系薬の使用量とE. coli耐性率の関連性を検討した報告は少ない。そこで,本研究では,外来患者を対象に当院でのキノロン系薬の使用量,使用期間と尿路系由来のE. coliにおけるLVFX耐性率を検証した。なお,抗菌薬の使用量の指標にはAntimicrobial use density(AUD),使用期間の指標にはDays of therapy(DOT)を使用した。当院での2008年4月~2016年3月の尿路系由来のE. coliにおけるLVFX耐性率とキノロン系薬のAUD,DOTの関連性を3か月ごとに集計して検討したところ,それぞれで有意な相関は認めなかった(R=0.21,p=0.27,R=-0.08,p=0.78)。一方,2012年4月~2016年3月のExtended-spectrum β-lactamase(ESBL)産生株の割合とLVFX耐性率との関連性についての検討では,有意な相関を認めた(R=0.64,p<0.01)。本検討結果から,当院の外来の尿路系由来におけるE. coliのLVFX耐性率には,キノロン系薬の使用量,期間の関連性よりも,ESBL産生株の割合が高く関与していることが示唆された。
Keywords キノロン系薬, 使用量, 使用期間, ESBL, E. coli耐性率
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