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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
Trueperella bernardiaeによる急性腎盂腎炎から続発した敗血症の1症例 |
論文言語 |
J |
著者名 |
河原 菜摘1), 入村 健児1), 古賀 恒久2) |
所属 |
1)公立学校共済組合九州中央病院医療技術部検査技術科
2)公立学校共済組合九州中央病院総合内科 |
発行 |
臨床微生物:27(3),177─182,2017 |
受付 |
平成28年5月12日 |
受理 |
平成29年2月6日 |
要旨 |
91歳女性。発熱と呼吸苦を主訴に入院となり,急性腎盂腎炎,敗血症性ショック,播種性血管内凝固症候群(DIC)と診断された。入院時に採取された尿培養,2セットの血液培養からグラム陽性桿菌を分離した。両者とも同じコロニーで,その形態はcoryneformを呈し,カタラーゼ陰性,通性嫌気性であり,β溶血を認めなかった。BBL Crystal GP(日本ベクトン・ディッキンソン)でArcanobacterium pyogenesと同定された。しかし,β-グルクロニダーゼ陰性,ラクトース陰性で,A. pyogenesの性状と異なっていたため,精査目的で佐賀大学医学部附属病院微生物検査室に同定検査を依頼した。
尿分離コロニー,血液培養分離コロニーとも,MALDI Biotyper(BRUKER)でTrueperella bernardiaeと同定された。また,16S rRNA遺伝子解析でも,T. bernardiaeと同定された。よって本症例は,T. bernardiaeによる急性腎盂腎炎から続発した敗血症で,国内での報告が少ない貴重な症例である。 |
Keywords |
coryneform, グラム陽性桿菌, カタラーゼ陰性, Trueperella bernardiae, Arcanobacterium pyogenes |
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