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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
市中病院小児科における入院時ルチン上気道培養廃止による医療費削減効果 |
論文言語 |
J |
著者名 |
日馬 由貴 |
所属 |
富士市立中央病院小児科 |
発行 |
臨床微生物:27(4),275─280,2017 |
受付 |
平成28年12月16日 |
受理 |
平成29年5月22日 |
要旨 |
市中病院小児科で入院時ルチン上気道培養検査を廃止し,廃止前後1年間の上気道培養検体数,検査された患者の疾患,行われた医療行為,医療費の変化について検討した。上気道培養が行われた入院患者は廃止前60.7%,廃止後16.2%と有意に減少した。廃止前,廃止後を合わせて検出された微生物はHaemophilus influenzae(11.4%),Streptococcus pneumoniae(9.8%)の順で高かった。肺炎,気管支炎,中耳炎,副鼻腔炎,それぞれの疾患におけるH. influenzae,S. pneumoniaeの検出率は,対象全体における検出率との間に有意差を認めなかった。一方,扁桃炎,IgA血管炎,急性腎炎症候群におけるStreptococcus pyogenesの検出率,ブドウ球菌性皮膚熱傷様症候群におけるStaphylococcus aureusの検出率は,対象全体における検出率との間に有意差を認めた。上気道培養の結果が医療行為につながった症例は対象全体の3.5%であり,廃止前後で有意差を認めなかった。行われた医療行為の中で患者予後に影響を与えるものはなかった。上気道培養検査に費やされた医療費は廃止前後で2,505,600円減少した。気道感染症における上気道培養の有用性は限られ,入院時ルチン上気道培養の廃止は患者予後を変化させることなく医療費を抑制することができた。 |
Keywords |
咽頭培養, 後鼻腔培養, 小児, 医療費 |
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